近年、SNSの普及により「裏垢(裏アカウント)」という存在が一般化してきました。表では本音を見せず、裏では悪口やネガティブな感情を吐き出す。
このような行動の裏には、どのような心理が潜んでいるのでしょうか。今回は「裏垢で悪口を言う心理」について、深掘りしていきます。
裏垢とは何か?
表と裏の顔を使い分けるSNS文化
裏垢とは、本人が公にしていない非公式のアカウントのことを指します。
一般的には、身近な人に知られていないアカウントで、本音や愚痴、時には過激な意見が投稿されることもあります。
表垢では理性的で好印象な投稿が多いのに対し、裏垢は感情のはけ口となっている場合が多く見受けられます。
裏垢は鍵垢にする場合も
裏垢にも大きく分けて2種類あります。
一つは本人だとバレないよう個人情報を操作したり、個人情報を出さずに、あたかも別人かのようになりすまして表でも堂々と発信しているタイプ。
もう一つは「鍵垢(カギアカ)」といって、フォロワーしか見れない状態で発進しているタイプです。
もちろんこの両方を行っている裏垢もあります。
裏垢で悪口を言う心理的背景
1. 承認欲求と共感の獲得
人間は誰しも「共感してほしい」という欲求を持っています。裏垢で悪口を言うことで、「わかる」「自分も同じ経験をした」といった共感を得られると、自分の感情が正当化され、心理的に安定します。この共感の欲しさから、裏垢での悪口投稿がエスカレートするケースもあります。
2. 本音を言える安全地帯
表向きには言えない本音や不満を吐き出す場所として、裏垢は「心の避難所」として機能しています。リアルな人間関係では言えないことでも、匿名性の高い裏垢であれば発言できると感じるため、攻撃的な言葉や悪口が増える傾向があります。
3. 自己防衛の一種
誰かの悪口を言うことで、自分の立場を優位に保とうとする心理も見られます。たとえば、「あの人は性格が悪い」と書き込むことで、無意識に「自分の方がましだ」と感じ、自己価値を保とうとするのです。これは劣等感や不安の裏返しでもあります。
4. ストレス発散
学校や職場、家庭などで蓄積されたストレスを、裏垢という場所で吐き出している人も少なくありません。言葉にして外に出すことで、一時的に気持ちが軽くなるため、悪口という形での発散が繰り返されるのです。
裏垢で悪口を言うことのリスク
1. 特定される可能性
たとえ匿名であっても、投稿内容や書き方、写真などから身元が特定されることがあります。いったんバレてしまえば、人間関係の破綻や信用の喪失につながるリスクが非常に高くなります。
2. ネガティブな感情が強化される
悪口を書くことで一時的にはスッキリするかもしれませんが、実はネガティブな感情が自分の中に定着しやすくなります。その結果、イライラや不満を抱えやすい思考パターンが癖づいてしまうことも。
どうすれば裏垢で悪口を言わなくてすむのか
1. 信頼できる人との対話
悪口という形ではなく、悩みや愚痴を安心して話せる相手を持つことが大切です。信頼できる友人やカウンセラーに本音を打ち明けることで、SNSに頼らずとも感情を整理できます。
2. 自己理解と感情の整理
「なぜ自分はこんなに怒っているのか?」「何が本当に辛いのか?」と、自分の感情に目を向けてみることが有効です。感情を書き出す「ジャーナリング」なども、感情の整理に役立ちます。
3. SNSとの付き合い方を見直す
裏垢を使っている理由や目的を冷静に考え直すことで、自分にとって本当に必要な使い方が見えてくるかもしれません。時にはSNSから距離を置くことも有効です。
まとめ
裏垢で悪口を言う行為の背後には、共感欲求や自己防衛、ストレス発散といった複雑な心理が潜んでいます。一見ネガティブに見える行動も、深層には「誰かにわかってほしい」という切実な想いがあるのかもしれません。悪口という形ではなく、もっと健全な方法で感情を表現し、対人関係を築くことが、長期的には自分を守る手段となるでしょう。
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